今回は、『怒る』について考えていきましょう。
近年、子どもに対して『怒る』ことは間違っているという風潮になりつつあり、
『叱る』を推奨しています。
しかし、それは正しいことでしょうか?
怒られる経験をしていない子どもが増えていることでデメリットも多いのでは?
これを読んでなにが最適か気づきを深めましょう。
『怒る』と『叱る』と『注意』の違い
まずは、『怒る』『叱る』『注意』の3つの違いについて理解を深めていきましょう。
この3つの違いを知っておくことで日々の関わりが変わってくると思います。
『怒る』とは
自分の感情を抑えられずに発散させることが目的になり、相手に何かを改善してもらうというよりも
感情をぶつけてしまうことを『怒る』と言います。
簡単にいうと、相手を正すや改善ではなく、自分のイライラや不満の感情を爆発させていることです。
怒られた側は、攻撃的と捉えてしまい、萎縮してしまうケースもあります。
虐待や体罰が起こる原因の一つがこの『怒る』という感情です。
なんでまた同じことをやっているの!!それはダメやったら!!
と声を大きく出して頭ごなしに言うことです。
皆さんのイメージでは、昭和的な指導のイメージが強いのでは?
『叱る』とは
『怒る』とは逆のいい使い方をすることが多いです。
相手に改善を求める言葉がけや正そうとする言葉をかけることを『叱る』と言い、
感情が伴うこともありますが、冷静に状況を説明して理解してもらえるように促すことを言います。
これは良くないことだよね。もうしないようにしてね。どうすればいいか一緒に考えてみよう
感情的に言うのではなく、冷静に改善を促す声かけをしていくことになります。
皆さんのイメージでは、令和的な指導のイメージでしょうか?
現在では、教育現場や保育現場では感情的に指導する『怒る』ではなく、
冷静に促す指導の『叱る』がメインではないでしょうか?
『怒る』と『叱る」は似ているようで対比のようですね。
『注意』とは
相手のミスや誤りを指摘し、改善を促すことを目的としています。
感情的になることなく、冷静に事実を伝えることを『注意』と言います。
『叱る』と似ているようですが、『注意』は予防的な指導でもあるので
その点が違いかなと思います。
今やっていることは危ないから、こうしたほうがいいよ
と冷静に指導する声かけのことです。
簡単にまとめると
『怒る』:感情的に物事を伝えること
『叱る』:感情を伴うこともあるが、冷静に相手の改善を促すように伝えること
『注意』:感情を抑え、冷静に指摘や予防的な指導をするように伝えること
『怒る』はなぜダメなのか?
上記で『怒る』『叱る』『注意』について区別できたと思います。
では、なぜ、子育てや教育、保育で『怒る』がダメなのかということを考えていきましょう。
子どもの感情に悪影響
感情的になる『怒る』ことで子どもの感情に悪影響を与えてしまいます。
強い叱責や攻撃的な感情が強い圧力となり、子どもの中で恐怖や不安を抱くことになります。
子どもは素直ですごく敏感でネガティブな感情には心理的な面で強く反応してしまいます。
感情的になり怒られることで
「自分はだめなんだ。愛されていない。自分は悪いんだ」
と自分自身の評価が下がり、自分のことが嫌いになることにつながります。
専門的に言うと自己肯定感の低下に繋がります。
また、感情的に強く怒られることでその後、恐怖心で行動することになります。
怒られないように大人の目を気にしてビクビク行動してしまうということです。
これのなにがまずいかというと、本来子どもに身につけてほしい能力の一つに
自分で考えて行動する
という自発的な学びや自主性を伸ばす関わりをしていくのですが、
怒られないように行動する
という考え方に変わってしまいます。
怒られるのは嫌だから、自分で考えて行動するのではなく、
怒られないように大人の目を気にして自由に行動しなくなるのです。
これは、子どもの成長にストップをかけていることですよね。
問題解決に繋がらない
感情的な『怒る』では、具体的な解決方法や改善策が伝えられないので
子どもにとって『なにが悪かったのか』『どうすればいいのか』という問題の本質が
わからず、また同じ行動を繰り返し、再度怒られてしまうという負の連鎖に陥ってしまいます。
感情的な指導の際は、内容よりもトーンが優先されるので『怒られている』ということしか
残りません。
子どもの学びに繋がらないので教育、保育、子育てには『怒る』は不適切ですよね。
信頼関係が損なわれる
子どもと大人の間で大切になることは信頼関係です。
子どもは信頼できる相手には心を開いて、子どもの本当の姿をみることができます。
しかし、『怒る』ことが続くことで、子どもと大人の信頼関係は構築できず、子どもの中で
感情的でよく怒る怖い存在
として考えられるので、子どもが心を開いてくれることはないし、
安心して相談するなんてことはありませんよね。
怒られる経験が増えることで自分の思いや気持ちを外に発信できなくなり、
失敗やミスを隠したり、嘘をつくことにもつながっていきます。
それでも『怒る』は必要なこと
これまで、『怒る』について考えてきましたが、
教育、保育、子育てにおいては『怒る』は不必要であることがわかってきたのではないでしょうか?
『怒る』ことが子どもにとって良くないことは明らかですが、
私は『怒る』ということが必要であると考えています。
『怒られる』という経験が必要
令和になり、指導方法が変わっていく中で『怒られる』経験が子どもの中で減ってきています。
もちろん、指導のメインは『叱る』でいいと思っていますが、全部が全部『叱る』では足りません。
子どもが本当に危険な行動や危ない行為をしたときに大人が全力で感情的に指導することが必要な場面が
必ずあります。
そして、子どもの中で『怒られた』という経験が必ず、大人になって活きてくると考えています。
これは、スキルに繋がってくるのかもしれませんが、大人の中で『怒る』と『叱る』のスイッチを
切り替えて指導してほしいと思っています。
宿題を忘れた、悪口を言った、嫌なことをしたなどの場面では感情的に『怒る』ではなく
冷静に改善を促すような『叱る』のほうが適切ですよね?
しかし、万引きや窃盗などの犯罪行為や転倒や転落の危険がある遊び、車道などで遊んでいるなど
本当に危ない行為や危険な行動の時には全力で『怒る』ほうが適切ではないでしょうか?
日常的に『怒る』指導だけ
場面に応じて『怒る』と『叱る』を使い分ける
大人側がそのスイッチの切り替えを行い、『怒る』も『叱る』も子どもにとって
成長に繋げられるように使っていけば良いのです。
虐待や体罰になってはいけない
『怒る』は場面によって使っても良いと述べましたが、虐待や体罰につながることは絶対にダメです。
いかなる理由があれど、大人が子どもに対して虐待や体罰につながるように関わっていくことは
間違っています。
『怒る』は虐待や体罰につながりやすい原因の一つではありますが、
その一線を超えないようにしないといけません。
虐待や体罰が子どもの成長につながることは100000000%あり得ません。
教育現場ではここ10年くらいで体罰は減ってきていると思います。
保育現場、子育てでも虐待はしつけではないという考え方が浸透しており、
虐待がダメという考え方が浸透してきていると思いますが、減ったとは思っていません・・・
(虐待件数は年々増えてきていることは事実です。虐待に周囲の目が気がつくようになったこともある)
しかし、保育現場では虐待をしたらニュースに取り上げられているので、
各保育現場では関わりを見直しているところが多いのではないでしょうか?
『怒る』ことは絶対にダメとは言いませんし、場面に応じて使い分けていくことが必要ですが、
虐待や体罰は絶対にダメ
なぜ、虐待や体罰がダメなのかは後日記事にまとめます。
まとめ
今回は、『怒る』について考えてきました。
令和になり、より一層『怒る』関わりは間違っていると言われることもありますが
教育現場、保育現場、子育てなどにおいてその場面に応じて『怒る』と『叱る』を
使い分けていくことが本当に必要であると考えています。
虐待や体罰に繋げてしまうのは絶対にだめですが、子どもの成長を思っての
『怒る』は子どもの成長にとって必要な経験にもつながります。
ただ、使い分けが必要ということを忘れないでください。
最後まで、読んでいただきありがとうございます。
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